あの日(25年経ってまだ、ここにいる)
友達と遊んでいた。敦、遠藤、色々だ。公園のすぐそばに汚い物体が落ちていた。ガキどもの嬌声が響く。あの本だ。
「うわあ、きったねえ」
「お前、みてみろよ」
「みねえし」
敦が薄汚い、クソ本のページをめくる。好奇の目。
「お前も、見ろよ」
「いや、見ねーし」
みんなが冷ややかなさと、好奇の目を私に向ける。何恥ずかしがってんだよ、と。
散会していくガキたち。今日の授業はこれでおましまい。私も家路につく。
公園から家は近い。私は友達がいなくなったのを見計らって、例の本に近づく。薄暗い性の目覚め。
公園まで近づく。例の本が留まる。本まで数メートル。
が、おそろしく汚い。とても、触る気になれない。
私はあっけなく来た道を引き返した。