国技館
国技館。今日も相撲取りが相撲を行っていた。
万年最下位力士の貴花田は今日も敗北を喫し、肩を落としていた。そこに、通りすがりの初老の紳士が現れた。
「今日は残念だったね」
貴花田は不審に思ったが、適当に、はい、と挨拶を返した。初老の紳士は、ニコニコして去っていった。
国技館の客席は今日も満員御礼だった。先程の紳士が今度は、升席にいた可愛らしい少女に話しかけている。
「どうだい?おもしろいかい?」
「うん!」
初老の紳士はまたしてもニコニコして立ち去った。
国技館の出入り口。どこかの客が連れてきた小汚い雑種の犬が縄で繋がれていた。初老の紳士はまたしても話しかけた。
「どうだい?おもしろいかい?」
犬は首をかしげるだけだった。
貴花田は憔悴仕切っていた。このまま、負けが込めば、番付が下がり、廃業しなければならない。焦っていた。待合室で、休息をとっていると、先程紳士とはなしていた小汚い犬が待合室に入ってきた。
「ちょっと、どこの犬ですか?」
貴花田は係員に苦情を言った。すると犬は貴花田のほうに近づいてきた。そして勢いよく貴花田のふんどしに噛みついた。
「ギャーーーーーーー!!」